【外国人教育担当必読】外国人社員のキャリアプラン形成とは?
一時的な出稼ぎ労働者としてではなく、中長期的人材として注目が集まっている外国人労働者ーしかしながら、日本で働く外国人が期待する力を発揮するためには、入社後の研修及び教育が不可欠です。
この記事では、外国人社員が日本で着実にキャリアプランを形成するためのポイントをお伝えします。
入社~2.3年
税制度、社会保障制度の説明
日本の税制度や社会保険制度は複雑で、外国にはないこともあります。
したがって、「何故、給料から引かれているのか?」「何故、外国人が年金を支払わなければならないのか?」など給与控除の理由や外国人が年金を支払う背景を説明し、質問には分かりやすく、的確に答える必要があります。詳しくは下記の記事をご覧ください。
【お役立ちコラム】
コンプライアンスに関する説明
ハラスメント、情報セキュリティ、著作権侵害など、コンプライアンスに関する教育が不可欠です。
したがって、コンプライアンス違反を防ぐ意味でも、下記のステップを踏んで教育をしていくことが重要です。
外国人社員のリスク回避ステップ
- ①法令と企業ポリシーの解説
- 初めに、日本の法令や企業のポリシーに関する基本的な知識を提供します。まずは外国人社員が働く上で知っておくべき法的要件や企業の方針を明確に説明することが重要です。
- ②コンプライアンスの重要性の強調
- 「コンプライアンスがなぜ重要か」を具体的な事例や実例を交えて説明します。法令違反や規則違反がもたらすリスクや影響について理解を深め、社員が自ら意識的にコンプライアンスに従う動機付けを行います。
- ③ハラスメント防止教育
- セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなどへの理解と防止策に焦点を当てます。具体的なケーススタディやワークショップを通じて、ハラスメントを未然に防ぐためのスキルを身につけさせます。
- ④情報セキュリティ教育
- 企業の機密情報や個人データの重要性を認識させ、情報漏洩やサイバーセキュリティに対するリスクを理解させます。安全な情報の取り扱い方法やセキュリティ意識の向上を目指します。
- ⑤著作権と知的財産の尊重
- 著作権や知的財産権の尊重について教育します。他者の著作物を適切に扱うことや、企業の知的財産を守るためのガイドラインを示し、社員に適切な意識を醸成させます。
これらの要素を含んだコンプライアンス教育プログラムは、外国人社員が法令やルールを遵守し、安心して業務に従事できる環境を整備するのに役立ちます。また、コンプライアンスは常に変化する領域であるため、定期的な研修や教育が重要です。
キャリアプランの作成
外国人は日本人に比べ、自身のキャリアに強い拘りや関心をもつ人が多いです。また、外国人社員はキャリアに対する強い意欲を持っています。ですから、まずは本人の目標を確認し、それに基づいたキャリアアッププランを作成しましょう。これがモチベーション向上につながります。
外国人社員のキャリアプラン形成と定着へのステップ
- ①個別面談と目標設定
- 初めに、外国人社員との面談を通じて、彼らのキャリア目標や志望する方向性を明確にします。自身の強みや興味を把握し、企業において達成したい目標を共有します。
- ②職務適性評価
- 外国人社員のスキルや経験を評価し、どの職務が最適かを判断します。これにより、最適なポジションへの配置やトレーニングの方針を策定します。
- ③日本のビジネス文化への適応
- キャリアプランには、日本のビジネス文化や慣習に適応する能力が含まれます。ビジネスマナーやコミュニケーションスキルの向上を目指すことで、異文化間での円滑コミュニケーションに繋がります。
- ④教育プログラムの提供
- 外国人社員の成長を促進するために、リーダーシップスキルやプロジェクト管理、クロスカルチャーコミュニケーションなどに焦点を当てた指導を業務を通して行いましょう。
- ⑤メンタリングとフィードバック
- 定期的な1on1を通じて、外国人社員に対してフィードバックし、成長の方向性を確認します。メンター制度を導入し、経験豊富な社員がサポート役となります。
キャリアプランの構築は継続的なプロセスであり、外国人社員が日本のビジネス環境で自己成長し、企業に貢献できるようサポートすることが求められます。また、企業への信頼が高まり、離職率が低下することにも繋がります。
外国人社員に教える日本のビジネスマナー3つの基本
ビジネスマナーを教えずにいると、思わぬところで失敗をしてしまうことがあります。ビジネスマナーの違いで失敗してしまうと、外国人社員自身も自信を失ってしまいますし、会社の業績にも影響を及ぼしかねません。
仕事に必要な資格の説明と資格取得のためのサポート
たとえ仕事な資格だとしても、業務時間外に学習に励むとなると躊躇する方も少なくなりません。ですから、資格の取得の必要性とこれからの自分のキャリアに活きるよう、社内制度を整えていくことも重要です。
外国人社員の資格取得サポートのステップ
- ①資格選定のカウンセリング
- 初めに、外国人社員との個別カウンセリングを通じて、彼らの職務やキャリア目標に合致した資格を選定します。選定された資格は、個人のスキル向上や職務適性に直結するものとなります。
- ②資格取得に必要なトレーニングプログラム
- 選ばれた資格に向けて必要な知識やスキルを獲得するためのトレーニングプログラムを提供します。これには、オンライン講座、対面セッション、実務トレーニングなどが含まれます。
- ③資格取得費用の一部助成
- 資格試験の受験費用やトレーニングプログラムの費用に対して、一部助成を行います。これにより、外国人社員が負担なく資格取得に集中できるよう支援します。
- ④資格取得のインセンティブ
- 資格取得が企業にとって価値ある成果である場合、取得者に対して特典や昇進のインセンティブを提供します。その結果、外国人社員がモチベーションを高く保ち、資格取得に積極的に取り組む助けになります。
- ⑤資格更新サポート
- 取得した資格の有効期限が切れる場合、更新に向けたサポートを提供します。新たな要件や変更事項についても定期的に情報提供し、資格を有効に維持するサポートを行います。
外国人社員に対する資格取得サポートは、彼らのスキル向上とモチベーションの維持に寄与し、離職率の低下にも繋がります。特に、スキルアップが成果として認められることは企業への信頼にも繋がります。
【情意評価は要注意】外国人社員の評価基準の作り方
外国人社員の人事評価基準において、どういった項目を重要視していますか?
評価基準の明確化や目標設定は、彼らの成長とモチベーションの向上、企業への貢献に不可欠です。今回は、外国人社員を評価する際の注意点と重要視すべき項目についてお伝えします。
継続的な日本語(特に敬語)と専門用語の教育
当然のことながら語彙力は低い為、継続的かつ定期的な日本語教育が重要になります。
この教育は、就業時間内に行うことをお勧めします。
外国人社員の日本語コミュニケーション力向上ステップ
- ①言語レベルの評価
- 入社時に外国人社員の日本語の言語レベルを評価します。そして初期の教育プランを適切に設計し、個々のニーズに合わせたサポートを提供します。
- ②日常業務における日本語の活用
- 初めは基本的な日常業務で使用される日本語表現やフレーズを教育します。ビジネスメールや会話の中ででの基本的な表現に焦点を当て、実践的なスキルを身につけさせます。
- ③業界や職種に特化した専門用語の解説
- 各外国人社員の所属部署や職務に応じて、業界や職種に特有の専門用語を解説します。これにより、業務効率を向上させ、スムーズなコミュニケーションを可能にします。
- ④模擬会話とロールプレイング
- 実践的な学習の一環として、模擬会話やロールプレイングを導入します。これにより、実際の業務状況でのコミュニケーション能力を向上させます。
- ⑤進捗モニタリングとフィードバック
- 学習の進捗をモニタリングし、外国人社員課題や改善点を共有します。これにより、個別の課題に対応した効果的なサポートを実現します。
日本語と専門用語の教育は、外国人社員が円滑に業務に取り組むにあたって欠かせない要素です。実は、異国で挑戦する外国人社員の方は初めの三ヵ月で自信を失ってしまうことが多々あります。それは学んできた日本語と職場で使われる日本語に乖離があるためです。したがって乖離を埋めていくことは早期戦力化に重要な要素となります。
昇進時
キャリアプランの作成や研修
昇進時には、昇級理由の説明と、本人に期待されていることを明文化した上で、これから先のキャリアアッププランを本人と共に作成することをお勧めします。
また、縦社会の経験がない外国人も多いので、リーダーシップ研修や指導的立場におけるハラスメントやコンプライアンスなどに関する教育も重要になります。
昇進に向けては透明性を重視し、評価基準を外国人社員に明確に伝えることが大切です。目標達成度や貢献度に基づいた公正な評価を心がけましょう。
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定着率UP・早期戦力化のための
外国人受け入れ企業研修
日本人社員・外国人社員が互いに多様性を受け入れることを目的とした研修プログラムを多数ご用意しています。
この記事を書いた人
日本ビジネス能力認定協会理事 佐々木敦也
アメリカ駐在を経て、1991年にソフトウェア会社を設立。代表取締役として会社を経営する傍ら、外国籍社員の採用・育成を行う中での経験を教材にまとめ、2015年に日本ビジネス能力認定協会を設立した。
著書:『外国人実務能力検定公式テキスト』